店舗改装の期間はどれくらい? 業種別の目安と対策2025.05.22

店舗を改装したいけど、どれくらいの期間お店を閉めることになるのか分からなくて不安です。業種によって違うって聞くけど、実際のところどうなの?そのような疑問を持たれる方もいらっしゃるかもしれません。
実は、店舗改装にかかる期間は業種や改装内容によって大きく異なります。ですが、事前に目安を知っておくことで、計画的に準備を進めることができ、営業への影響も最小限に抑えられます。
この記事では店舗改装の平均的な期間を業種別に紹介しながら、スムーズに工事を進めるための対策やポイントについてもわかりやすく解説します。
ぜひ今後店舗改装を考えている方はご参考にしていただければと思います。
店舗改装にかかる期間の目安とは?
一般的な改装工事の期間の平均
店舗の改装を検討するとき、多くの人がまず気になるのが「工事にどれくらいの期間がかかるのか?」という点です。営業を一時的に止める必要がある場合、売上への影響を最小限にするには、事前に改装期間を把握することが欠かせません。
一般的に、軽微な内装工事は3日〜1週間程度で完了することが多いです。これは、壁紙の張り替えや照明の変更など、構造に手を加えない改装に限られます。一方で、内装と設備工事を含む中規模の改装では2〜4週間、フルリノベーションのような大規模改装では1〜3ヶ月かかるのが平均的な目安です。
あくまで目安ではありますが、この期間の違いを把握するだけでも、計画の立てやすさは大きく変わります。
フルリノベーションと部分改装の違い
見た目のリニューアルだけのケース
店舗改装の中でも「見た目だけを変える」場合、工事は比較的短期間で済みます。たとえば、内装のクロス張替えや床材の交換、照明の交換といった内容です。このようなリニューアル工事は、閉店後や定休日を利用して数日で済ませることも可能です。
小売店などでは、営業しながら工事を進めることもあります。作業が一部エリアで完結する場合は、営業への影響を最小限にしながら改装することも可能です。
配管・設備まで含めた全面工事の場合
一方で、水道や電気、空調、厨房機器の設置・変更といった設備面の改装が必要な場合は注意が必要です。この場合は、構造に手を加える工事が発生するため、数週間から数ヶ月の工期が必要になることがあります。
特に飲食店や美容室のように「水」「電気」「空調」などのインフラが重要な業種では、設備更新の有無によって改装期間が大きく左右されます。
こうした工事を伴う改装では、行政の許可や届け出も必要になることがあるため、設計から着工までにも時間がかかる点に注意が必要です。
業種別に見る改装期間の違い

店舗の業種によって、改装に必要な作業内容や工事の複雑さが異なるため、当然ながら改装にかかる期間も大きく変わってきます。ここでは、代表的な業種ごとに、一般的な改装期間の目安とその理由について解説します。
飲食店の改装期間
厨房や排気設備の工事が鍵
飲食店の改装では、厨房の設備更新やレイアウト変更、そして排気・給排水の工事が主なポイントになります。これらの工事は専門性が高く、安全性や衛生面の基準も厳しいため、工事内容の確認や各種申請に時間がかかることがあります。
一般的に、小規模なレイアウト変更であれば2〜3週間、全面改装の場合は1〜2ヶ月程度かかるのが目安です。厨房機器の入れ替えやダクト工事などが含まれると、さらに工期が延びることもあります。
保健所への届け出も必要
特に注意すべきは、工事が完成した後の保健所の検査や営業許可の申請です。営業再開にはこの許可が必要なため、工事後すぐに営業できるわけではない点も計画に組み込んでおく必要があります。
そのためあらかじめ検討段階で保健所に相談することをおすすめします。
美容室・理容室の改装期間
水回り工事が中心になることが多い
美容室や理容室の改装は、シャンプー台の移設や追加といった水道工事が中心になるケースが多いです。また、壁や床の素材にもこだわる必要があるため、仕上げ作業に時間をかける傾向があります。
一般的には、部分的な改装で10日〜2週間程度、全面改装で1ヶ月前後の期間が目安です。
営業しながらの工事も検討される美容業では、常連客が多く、長期休業による顧客離れを防ぐため、営業を続けながら工事を行うケースも少なくありません。その場合、夜間や定休日に作業を行うなどの工夫が必要となり、逆に工期が長くなる場合もあります。
小売店・物販店の改装期間
見た目の刷新がメインのケースが多い
小売店や物販店では、レジ周りの配置変更や商品棚の交換、内装の刷新など視覚的な変化を目的とした改装が多く見られます。そのため、設備工事を伴わない場合は1週間以内に完了することも多いです。
店舗の広さと什器の数が影響
一方で、店舗の面積が大きい場合や什器の入れ替えが多い場合には、2〜3週間程度の工期が必要になることもあります。また、商業施設に入っている店舗では、施設側の工事ルールに従う必要があるため、申請やスケジュール調整の時間も見込んでおきましょう。
店舗改装前にやっておくべき準備
店舗改装をスムーズに進めるためには、事前の準備がとても重要です。改装の目的やスケジュールが曖昧なままでは、工事が予定通りに進まなかったり、予算を大きくオーバーしたりする原因になりかねません。ここでは、改装前に行うべき主な準備についてご紹介します。
改装の目的を明確にする
何のための改装なのかを整理する
改装には「売上アップを狙う」「古くなった設備を更新する」「ブランドイメージを一新する」など、さまざまな目的があります。これをあいまいにしたまま工事を始めると、デザインも費用もブレやすく、結果として満足のいかない仕上がりになることがあります。
そのため、まずは「なぜ改装したいのか?」を自問し、その目的を紙に書き出してみることが大切です。それによって、工事内容や予算、期間なども現実的に設定しやすくなります。
お店の将来像を描く
「今だけ」ではなく、「この先5年、10年」を見据えた改装計画を立てることが理想です。例えば、今は小規模でも将来的にスタッフや席数を増やす予定があるなら、それを見越した設計にしておくと後々の負担が減ります。
予算とスケジュールを立てる
見積もりは複数取る
改装工事の費用は、依頼する会社や工事内容によって大きく変わります。そのため、必ず複数の施工業者から見積もりを取りましょう。安さだけで選ぶと、仕上がりが悪かったり、後から追加費用を請求されることもあります。
複数社の見積もりを比較することで、費用の相場が見えてきますし、「この業者は信頼できそうだ」といった判断材料にもなります。
工事のタイミングを慎重に選ぶ
特に繁忙期を避けることがポイントです。例えば、飲食店であれば年末年始や夏のイベント時期などの繁忙期に工事をすると、大きな機会損失になってしまいます。売上への影響が少ないタイミングでの工事実施が理想です。
さらに、保健所などの申請手続きにかかる期間や、設備の納品スケジュールも加味して計画を立てると、無駄な待機時間を減らすことができます。
改装工事の進め方とポイント
店舗改装の成功には、工事の進め方を理解し、要所ごとに適切な対応を行うことが大切です。ここでは、工事をスムーズに進めるための基本的な流れと、注意すべきポイントをご紹介します。
工事の流れを理解する
ステップごとの工事内容を知る
店舗改装は大きく分けて、以下のような流れで進行します。
1. 解体・撤去工事:既存の内装や設備を取り外す作業です。想像以上に時間がかかる場合もあるので注意が必要です。
2. 下地・配管工事:電気や水道の配管、床や壁の下地を整える工事です。後工程に影響するため慎重な作業が求められます。
3. 内装・設備の設置:壁紙や床材、照明などの内装や厨房設備の設置が行われます。
4. 仕上げ・清掃:最終的な調整や美装、必要に応じた検査が実施されます。
それぞれの工程には数日から数週間かかる場合があり、特に水回りや空調設備を伴う場合は時間がかかる傾向にあります。
業者との連携をしっかり行う
こまめな確認と報告が重要
改装工事を依頼する際は、業者任せにせず、自分でも進行をしっかり把握することが大切です。特に重要なのは「定期的な現場確認」です。工事内容が設計図通りに進んでいるか、自分のイメージとずれがないかを早めに確認することで、後戻りややり直しのリスクを減らせます。
コミュニケーションの取り方に気をつける
連絡方法や頻度、報告内容の形式など、業者と事前にすり合わせをしておくことでトラブルを防げます。LINEやメールでのやりとり、定期的な電話や現場打ち合わせなど、自分が把握しやすいやり方を選びましょう。
期間短縮のためにできる工夫と準備

店舗改装はどうしても時間と手間がかかるものですが、事前の工夫と準備によって工期を短縮することも可能です。ここでは、工事期間を無駄なく進めるためのコツと、オーナー側が行える準備について解説します。
スケジュール管理と事前準備の重要性
施工前の準備が工期に直結する
工事のスケジュールは、始まる前の準備がしっかりしていればしているほど、スムーズに進行します。具体的には以下のような準備が大切です。
● 設計やレイアウトの確定:設計変更が後から出ると工期が伸びる原因になります。納得できるまで打ち合わせを重ね、着工前に図面を完全に固めましょう。
● 業者との契約や段取りの早期化:業者選定や資材の手配は時間がかかるので、早めに行動することがポイントです。
● 必要な許可申請の確認:飲食店などで必要な保健所の申請や消防設備の届け出なども、事前に確認しておきましょう。
これらを事前に済ませておくことで、着工後に手戻りや中断が発生しにくくなり、全体の期間を短縮できます。
業者選びのポイント
経験豊富な業者ほど段取りがスムーズ
信頼できる業者を選ぶことも期間短縮には欠かせません。特に以下のような点を重視するとよいでしょう。
● 店舗改装の実績が豊富か
● 複数の職人や工程を一括管理できるか
● スケジュールに関する説明が明確か
見積もりの価格だけでなく、どれくらい柔軟に対応してくれるか、施工管理体制が整っているかなども確認しましょう。経験の浅い業者では工期の遅延や仕上がりにばらつきが出るリスクが高くなります。
同時進行で進める作業の工夫
業者と一緒に段取りを組み立てる
改装中にも進められる作業を洗い出し、工事の完了を待たずに取り掛かることで、全体の準備期間を短縮できます。
たとえば、
● 開業前の宣伝やSNS発信
● スタッフの研修や接客マニュアルの整備
● メニューの作成や物販商品の仕入れ
などは、内装工事と並行して準備できることです。これにより、「工事が終わってから準備を始める」という状態を防げ、トータルでの時間短縮が可能になります。
改装期間中の営業対策と顧客フォロー
店舗改装中はどうしても通常営業が難しくなり、売上が落ちてしまう可能性があります。しかし、工事期間中でもできる対策をとっておくことで、顧客離れを防ぎ、リニューアル後の集客にもつなげることができます。
一時的な営業方法の工夫
仮店舗営業やキッチンカーの活用
改装期間中でも仮設店舗を設けたり、移動販売車(キッチンカー)を使ったりすることで、完全な営業停止を避けられます。特に飲食業では効果的です。
また、周囲に同業の空き店舗やスペースがある場合、一時的にそこを借りるのも一案です。短期間だけの営業スペースでも、常連客にとっては「いつもの味」を提供できる安心感になります。
テイクアウトやデリバリーに切り替える
店内改装が必要な場合でも、キッチンが使えるようであれば、テイクアウト販売やデリバリーサービスへの切り替えも可能です。最近ではSNSや注文アプリを活用して、短期間でも十分な売上を確保している店舗も多くあります。
常連客やファンへの情報発信
改装情報の発信が顧客の不安を減らす 「いつまで休業?」「どんなお店に変わるの?」といった疑問を持つ顧客に対しては、早めに情報を提供することが大切です。
具体的には以下の方法があります:
● SNSで工事の進捗を共有する
● チラシやLINEでリニューアル情報を告知する
● 常連客には個別でメールやDMを送る
これらの取り組みを通じて、「楽しみにしている」「再開が待ち遠しい」というポジティブな感情を持ってもらうことができます。情報を出し惜しみせず、むしろ積極的に伝える姿勢が信頼にもつながります。
改装後の集客につなげるキャンペーン
リニューアルオープンを成功させる仕掛け
工事期間中から「リニューアル後の来店」を意識して動くことも重要です。改装完了後に向けて、以下のような施策を準備しておくとよいでしょう。
● リニューアル記念の割引やプレゼント企画
● 限定メニューや新商品のお披露目
● SNSでのキャンペーン拡散やフォロワー限定特典
こうした仕掛けがあることで、リニューアル後の初動がスムーズになり、以前よりも多くの来客が見込めます。また、店舗の雰囲気が変わることで、SNS映えを意識した投稿なども期待でき、自然な集客効果が見込めます。
まとめ:店舗改装の期間を左右する主な要因とは
改装のスケジュールを立てるうえで、実は「業種」や「規模」だけではなく、いくつかの見落としがちな要因も期間に大きく影響します。予想よりも長引くケースが少なくないため、事前にこれらの要因を把握しておくことが大切です。
設計やデザインの決定までにかかる時間
コンセプト決定が遅れると全体も遅れる
改装の初期段階である「設計」や「内装デザイン」の部分は、オーナーのこだわりや希望が反映される重要な工程です。ここでの意思決定が遅れると、そのまま施工開始も遅れてしまいます。
特に「デザインに納得できない」「イメージが固まらない」といった場合は、業者との打ち合わせ回数が増え、スケジュールが後ろ倒しになることが多いです。
スムーズに進めるためには、あらかじめ参考となる店舗写真やレイアウト図を準備しておくと、打ち合わせも効率的に進みます。
工事業者のスケジュールや人手不足
人気の施工会社は予約が埋まっていることも
改装を依頼する施工業者の稼働状況も、期間を大きく左右します。特に信頼性が高く人気の施工会社ほど、他の案件でスケジュールが詰まっているケースが少なくありません。
また、業界全体での人手不足も影響し、「着工できても人員が足りない」「工事が断続的になる」といったことも現実に起こります。
これを防ぐためには、半年〜1年前からの計画的な相談・予約が重要になります。
許可申請・届出にかかる期間
飲食業や医療施設では行政の許認可が必要
業種によっては、保健所や消防署、建築指導課などへの各種届出・申請が必要になります。これらの申請には審査期間があり、場合によっては図面の再提出や現地確認が必要なこともあります。
たとえば飲食店では、厨房の位置や排気ダクトの構造に関して細かい基準があるため、申請が一度で通らず工期がずれることがあります。
行政への確認や相談は、設計が固まった時点で早めに行うことが、トラブルを回避するポイントです。