飲食店の店舗改装費用|失敗しない3つの予算配分術!2025.05.07

「飲食店の改装っていくらくらいかかるんだろう?」「限られた予算で効果的に改装するにはどうすればいいの?」「改装費用をかけても本当に売上アップにつながるのかな…」
そう思う方もいるかもしれません。 実は、飲食店の改装を成功させるには、予算を「客席エリア」「キッチン設備」「外装・看板」の3つに適切に配分することがポイントなんです。
この記事では、飲食店オーナーが改装で失敗しないための予算の使い方や、坪数別の相場、経費計上のコツまで詳しく解説していきます。
飲食店の店舗改装費用の相場とは?
飲食店の改装を検討する際、まず気になるのは「いったいいくらかかるのか」という点ですよね。改装費用は工事の規模や内容によって大きく変わりますが、相場を知っておくことで予算計画を立てやすくなります。店舗改装の種類と費用感
店舗改装には大きく分けて「全面改装」と「部分改装」があります。全面改装は内装を一新するもので、坪あたり20〜40万円が相場です。一方、部分改装は客席やキッチンなど特定の箇所のみを改装するもので、改装範囲によって費用は異なりますが、全面改装の30〜70%程度の費用感となることが多いです。
例えば、20坪の飲食店の全面改装なら400〜800万円程度、客席のみの改装なら150〜300万円程度が目安となります。もちろん、使用する材料のグレードやデザインの複雑さによってさらに変動します。
店舗規模による改装費用の違い
店舗の広さは改装費用に直結します。小規模店舗(10坪未満)では全面改装で200〜400万円程度、中規模店舗(10〜30坪)では400〜1,200万円程度、大規模店舗(30坪以上)では1,000万円を超えることも珍しくありません。
特に飲食店の場合は、厨房設備や給排水工事、換気設備など専門的な工事が必要となるため、物販店などと比較して坪単価が高くなる傾向があります。
地域による価格差
改装費用は地域によっても差があります。一般的に都心部や繁華街では人件費や資材の搬入コストが高くなるため、地方と比べて1.2〜1.5倍程度の費用差が生じることがあります。例えば、東京・大阪・名古屋などの大都市では坪単価が25〜45万円となることも多いですが、地方都市では20〜35万円程度で収まることもあります。
地域の相場を知るためには、同じエリアで最近改装した同業他社の情報を集めたり、複数の工事業者から見積もりを取って比較したりすることが大切です。
失敗しない店舗改装の3つの予算配分術

店舗改装を成功させるためには、限られた予算を効果的に配分することが重要です。多くの失敗例を見ると、見栄えだけを重視して本当に必要な部分への投資が不足していたケースが少なくありません。ここでは、改装予算を「客席エリア」「キッチン設備」「外装・看板」の3つに適切に配分するポイントを解説します。
①客席エリアへの適切な投資
お客様が最も長く過ごす客席エリアは、店舗の印象を決める重要な空間です。しかし、予算をかければ良いというわけではなく、店舗コンセプトに合わせた効果的な投資が必要です。
客席エリア改装のコストパフォーマンス
客席エリアの改装で最も効果が高いのは、床・壁・天井の内装材の変更です。特に壁の色や素材を変えるだけでも、店の雰囲気は大きく変わります。例えば、暗めの色から明るい色に変えることで、店内が広く感じられ、清潔感も出ます。
高級感を出したい場合は、一部に本物の木材や石材を使うなど、ポイント使いすることでコストを抑えながら質の高い空間を演出できます。全面に高級素材を使うより、目につきやすい場所に集中投資する方が費用対効果は高いでしょう。
客席数と客単価を考慮した予算配分
客席エリアへの投資は、ターゲットとする客層や客単価に合わせて考えることが大切です。例えば、回転率重視の定食屋なら機能的な座席配置に予算を使い、長時間滞在型の居酒屋やカフェなら座り心地の良い椅子やソファに投資するといった具合です。
客単価が3,000円以上の店舗なら総予算の40〜50%を客席エリアに配分し、1,000円以下の店舗なら30〜35%程度に抑えるのが一般的な目安です。
②キッチン設備の効率化と予算
キッチンは直接お客様の目に触れる機会は少ないものの、料理の質や提供スピードに直結する重要な場所です。設備の老朽化や非効率なレイアウトは、長期的に見るとコストアップや機会損失につながります。
厨房機器の更新vs修繕の判断基準
厨房機器は一般的に5〜10年で更新時期を迎えます。しかし、すべての機器を一度に新しくする必要はありません。以下のポイントで判断すると良いでしょう。
・故障頻度が高く、修理費用がかさむ機器は更新する
・エネルギー効率の良い新型機器に変えることで光熱費が下がる場合は更新する
・まだ十分使用できる機器は、レイアウト変更で対応する
例えば、10年使用した業務用冷蔵庫は、電気代が新型の1.5〜2倍かかることも珍しくありません。年間の電気代差額と購入費用を比較して、3〜5年で元が取れるなら更新を検討する価値があります。
③外装・看板への戦略的投資
お店の顔となる外装や看板は、新規客の獲得に直結する重要な要素です。しかし、予算配分を誤ると効果が出にくい分野でもあります。
集客につながる外観デザインとコスト
外装は豪華さよりも、店のコンセプトが一目で伝わる明確さが重要です。例えば、イタリアンレストランならイタリアンだと一目でわかるデザイン、おしゃれなカフェならターゲット層が入りたくなるような雰囲気づくりを心がけましょう。
外装工事は建物の構造によって費用が大きく変わりますが、総予算の15〜25%程度が目安です。特に賃貸物件の場合は、退去時の原状回復費用も考慮して投資額を決める必要があります。
視認性を高める看板・サインの予算配分
看板やサインは、通行人の目を引き、店舗への入店を促す重要な役割を果たします。特に夜間営業の店舗では、適切な照明計画が集客に大きく影響します。
看板は総予算の5〜10%程度の投資が一般的です。ただし、メインストリートから少し離れた場所にある店舗は、誘導サインなどに追加投資することで集客効果を高められることもあります。
店舗改装の費用を抑えるコスト削減テクニック

店舗改装は必ずしも高額な投資が必要なわけではありません。効果的なポイントを見極めることで、限られた予算でも大きな変化を生み出すことが可能です。ここでは実践的なコスト削減テクニックを紹介します。
部分改装で印象を変える方法
全面改装ではなく、お客様の目に触れる部分を中心に改装することで、コストを抑えながらも店舗の印象を大きく変えることができます。
まず重点的に改装したいのが「ファサード(店舗正面)」です。外観は新規のお客様が最初に目にする部分であり、入店の判断材料となります。看板の交換や入口周りのデザイン変更だけでも、「新しくなった」という印象を与えられます。費用は50〜100万円程度で、全面改装の数分の一で済むケースが多いです。
また店内であれば、まず壁の色や壁紙を変えることを検討しましょう。壁は店内の印象を決める大きな要素ですが、材料費と工賃を合わせても坪あたり2〜5万円程度と比較的安価に変更できます。特に明るい色に変えると、店内全体が明るく清潔に感じられる効果があります。
照明の変更も効果的です。LEDへの交換費用は1灯あたり1〜3万円程度ですが、光の色や明るさを変えるだけで空間の印象は劇的に変わります。また、電気代の削減効果もあるため、長期的に見れば投資回収も期待できます。
既存設備を活かすリノベーション術
完全に新しく作り直すのではなく、既存の設備や内装を活かしながら改装することで、大幅なコスト削減が可能になります。
例えば厨房設備は非常に高額なため、可能な限り既存のものを活用するのがコツです。ガスコンロや冷蔵庫などの大型機器は、外観をクリーニングや塗装でリフレッシュするだけでも印象が変わります。設備全体を交換すると数百万円かかるところ、リフレッシュなら数十万円で済むことも多いです。
床材も全面交換ではなく、傷んだ部分のみ修繕したり、その上から新しい床材を重ねたりする「上貼り工法」を採用することでコストダウンが図れます。特に飲食店の床は汚れや傷みが激しいため、この方法は効果的です。
また、テーブルや椅子などの家具類も、全て新調するのではなく、天板のみ交換したり、座面だけ張り替えたりする方法もあります。家具の骨組みが丈夫であれば、その部分は残して表面だけ新しくすることで、新品同様の見栄えになるケースも多いです。
飲食店の内装工事を依頼する際のポイント
店舗改装を成功させるためには、信頼できる業者選びと適正な見積もり取得が欠かせません。ここでは、内装工事業者の選び方から見積もりの取り方、特に重要な厨房工事の注意点までを解説します。
内装工事業者の選び方
飲食店の改装は一般住宅とは異なる専門知識が必要となるため、業者選びは慎重に行う必要があります。
業者選定時のチェックポイント
業者を選ぶ際には、以下のポイントをチェックしましょう。
・保証内容:工事後のアフターフォローや保証期間はどの程度あるか
・対応の速さ:問い合わせへの返答や見積もり提出などの対応スピード
・担当者の知識:飲食店の設備や法規制に関する知識があるか
・工事スケジュール:他の現場とのバランスも含め、適切なスケジュールを組めるか
特に重要なのは実際に施工した店舗を見学することです。写真だけでなく実物を確認することで、仕上がりの品質や経年変化の状態が分かります。可能であれば、その店舗のオーナーに話を聞いて、工事中のトラブルの有無や業者の対応などの生の声を集めることをおすすめします。
見積もりの取り方と内訳の確認方法
改装工事の成功は、適切な見積もりを取ることから始まります。見積もりの取り方と、その内容をチェックするポイントを見ていきましょう。
適正な見積もり金額の見分け方
まず大切なのは、複数の業者から見積もりを取ることです。一般的には最低3社から取るのが望ましいでしょう。単に金額だけで比較するのではなく、以下のポイントをチェックして総合的に判断します。
見積もりの詳細度は、業者の誠実さを判断する重要な指標です。大まかな項目だけの見積もりよりも、「壁面クロス貼り替え○○㎡、単価○○円、合計○○円」といったように細かく内訳が記載されている見積もりの方が信頼できます。
また、適正価格かどうかを判断するためには、主要な工事の単価相場を知っておくことも重要です。例えば、一般的な内装工事の坪単価は以下のような相場です。
・床材施工:1〜3万円/坪(材料により変動)
・壁クロス貼り:1〜2万円/坪
・天井工事:1〜2万円/坪
・照明設置:1灯あたり1〜3万円(器具代別)
異常に安い見積もりには注意が必要です。後から追加工事という形で請求されるケースや、材料のグレードを下げて対応されるリスクがあります。逆に、相場より大幅に高い場合も、なぜその金額になるのか詳細な説明を求めましょう。
追加工事を防ぐための事前確認事項
改装工事でよくあるトラブルが、工事途中での追加費用の発生です。これを防ぐために、見積もり段階で以下の点を確認しておきましょう。
・解体工事で発生する廃材の処分費用が含まれているか
・給排水管や電気配線の老朽化対策費用が計上されているか
・原状回復費用(賃貸物件の場合)が見積もりに含まれているか
・保健所申請のサポート費用や図面作成費用は含まれているか
・家具や照明器具などの備品代も含まれているのか
特に古い建物の改装では、壁や床を解体してみたら予想以上に傷んでいたというケースがよくあります。可能であれば事前に下見の際、一部を確認してもらうなどして、隠れた問題点を洗い出しておくことが重要です。
また、契約前に「追加工事が発生した場合の対応方法」について明確にしておくことも大切です。追加費用の見積もり提出・承認のプロセスや、工事の一時中断に関する取り決めなどを、書面で残しておくと安心です。
厨房工事費用の適正価格
飲食店改装の中でも、特に高額かつ専門性が高いのが厨房工事です。費用の目安と注意点を解説します。
厨房設備の種類と費用相場
厨房設備には様々な種類があり、それぞれ価格帯が異なります。主な設備の相場は以下の通りです。
・業務用コンロ:20〜80万円(バーナー数や機能により変動)
・業務用冷蔵庫:30〜100万円(サイズや性能により変動)
・業務用食洗機:30〜80万円
・換気設備(フード・ダクト):50〜150万円
・シンク・作業台:10〜30万円
・排水溝・グリーストラップ:15〜30万円
これらすべてを新規導入すると、小規模店舗でも最低200万円程度、中規模店舗なら300〜500万円程度の費用がかかります。中古設備の活用や、リースの利用などでコストを抑える方法もあります。
厨房設備は店舗の営業年数や規模によって最適な選択肢が変わります。例えば、長期営業を見込むなら初期投資が多少高くても、耐久性の高い設備を選ぶ方が結果的にコストパフォーマンスが良くなることが多いです。
水道・ガス・電気工事の注意点
厨房関連の設備工事で特に注意が必要なのが、水道・ガス・電気などのユーティリティ工事です。
水道工事では、飲食店に必要な水圧や排水能力が確保できるかがポイントです。特に建物の上層階に出店する場合は、水圧不足の可能性があるため、増圧ポンプの設置が必要になることもあります。また、グリーストラップ(油水分離槽)の設置は保健所の指導で必須となるケースが多く、設置スペースと費用(15〜30万円)を見込んでおく必要があります。
ガス工事では、必要なガス容量が確保できるかが重要です。大型厨房機器を多数使用する場合、既存のガス管では容量が足りず、引き込み管からの工事が必要になることもあります。この場合、追加で50〜100万円程度の費用がかかる可能性があるため、事前に確認が必要です。
電気工事では、特に大型冷蔵庫やオーブンなど消費電力の大きい機器を導入する場合、契約アンペア数の増加や、場合によっては分電盤の交換が必要になることがあります。既存の電気容量で足りるかどうか、事前に電気工事業者に確認してもらうことが重要です。
これらのユーティリティ工事は、建物の構造や既存設備の状態によって費用が大きく変動するため、見積もり前の現地調査を丁寧に行うことが、追加費用発生を防ぐカギとなります。
まとめ:飲食店の店舗改装で失敗しないためのポイント

飲食店の改装は、単なる見た目の変更ではなく、経営戦略の一環として捉えることが重要です。ここまでの内容を踏まえ、改装を成功させるための重要ポイントをまとめます。
予算計画のための重要チェックリスト
改装計画を立てる際に、以下のチェックリストで確認することをおすすめします。
1.明確な改装目的の設定改装によって何を達成したいのか(客層の変更、客単価アップ、回転率向上など)を明確にしましょう。目的が明確であれば、どこに予算を重点配分すべきかも見えてきます。
2.適切な予算配分総予算を「客席エリア」「キッチン設備」「外装・看板」の3つに適切に配分することが重要です。店舗コンセプトや改装の目的に合わせて、優先順位をつけましょう。
3.複数の見積もり取得最低3社から見積もりを取り、内容を比較検討することで、適正価格での発注が可能になります。見積もりの詳細度や、追加工事の可能性についても確認しましょう。
4.工事スケジュールの現実的な計画改装工事の期間は、規模にもよりますが、設計から完成まで通常2〜3ヶ月かかります。営業への影響を最小限に抑えるため、閑散期や定休日を活用した計画を立てましょう。
5.法的要件の確認保健所の基準や建築基準法、消防法などの法的要件を事前に確認し、後からの手直しが発生しないようにしましょう。特に飲食店は衛生面での規制が厳しいため、専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。
改装後の集客アップにつなげるヒント
改装工事が完了したら、その効果を最大化するための施策も重要です。 なぜなら見た目は変わったとしてもお客様が気づかない可能性があるためです。
1.リニューアルオープンの告知改装したことを既存客や潜在的な顧客に知らせるために、SNSでの告知、チラシの配布、リニューアルキャンペーンの実施などを行いましょう。特に改装前に撮影した「ビフォー写真」と比較して紹介すると効果的です。
2.新メニューの導入店内の雰囲気が変わったタイミングで、新しいメニューを導入するのも効果的です。内装と料理の両方が刷新されることで、再来店のきっかけになります。
3.スタッフの意識改革店舗が新しくなったことで、スタッフの服装や接客態度も刷新するよう意識づけを行いましょう。内装だけが新しくなっても、サービスが以前のままでは改装効果は半減してしまいます。
4.定期的な小規模改善大規模改装の後も、3〜5年ごとに小規模な改善を継続的に行うことで、常に新鮮さを保つことができます。特に競合店が多いエリアでは、定期的な変化が重要です。
飲食店の改装は決して小さな投資ではありませんが、計画的に実施することで売上アップや経営効率の向上につながります。この記事で紹介したポイントを参考に、失敗しない店舗改装を実現してください。専門家のアドバイスを取り入れながら、自店の特性に合った改装計画を立てることが成功の鍵となるでしょう。